こんなに夜が来るのが怖いと思った日は久しぶりだね。
ひとりぼっちだね。
いつまで起きて待ってても、今日は誰も来ないんだよ。
どんなに今宵の闇が深くなっても、今日は誰も現れないんだよ。
すり足のような足音も、しない。
鍵を開ける音も、しない。
部屋に入ってくるまでの、気遣うような気配もない。
お帰りと言うことも、ない。
自分より少し高い温度が、ここにはいない。
冷え切ったまま、
冷たい布団の中で、
長い夜を七つくらい越えなくちゃいけないんだ。
朝が来たら、
なんでもないような顔で学校に行って
なんでもないように日々をこなして
レポートに追われて
おなかがすいたらご飯を食べなくちゃいけないんだ。
残酷だと思ったのは鍵を残して旅立っていったことなんだ。
不在の部屋を見渡せば
全てが家主の持ち物で、
全部置いていかれたモノたち。
取り残された空間の隙間から現れて
これからしばらくここに居続ける孤独が、
それらを、そして、ここにいる人間を、
優しく、けれど冷たく、くるんでいくよ。
それは酷い仕打ちだと思うんだよ。
分かっててその仕掛けにかかったのは他でも無く自分だけれど。
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